ポン・ジュノ監督、またまた映画史に残る名作を作ってしまいました!
正直、最初予告編を観た時は、そのタイトルからして
「ポン・ジュノも母親モノか〜、感動路線か〜」と思ったものです。
しかし、やはりポン・ジュノ監督作を外すことはできるはずもなく、
何より、画面から伝わってくる不穏な空気が、
この映画が単なる「感動モノ」とは一線も二線も画していることを如実に伝えていて
不安を抱えながらも劇場に足を運んだわけですが、
いやー、ポン・ジュノ、やっぱり間違いないっす!
ストーリーをざっくり説明すると、ある町で起きた殺人事件、
その容疑者として逮捕された障害を持つ息子の無罪を晴らすべく奔走する母親の姿を描いた作品といったところですが、
ストーリーが進むにつれて(これは『殺人の追憶』でも見られたけど)
登場人物の仮面がベリベリと剥がされてゆく訳です。
誰もが光も闇もその中に抱えていることは当然ではあるけれど、
「母子愛」をひとつの大きなテーマに持ってきたこのような作品でそれをやっちゃうのが
ポン・ジュノのえげつなさであり、
全てを忘れて踊り狂うショットを撮ってしまうところなどは、
それが果たして人間に対する「慈愛」から来るものなのか、
それとも「悪意」(締念)から来るものなのか計り切れないところがあり、
それがポン・ジュノとこの作品の底知れなさをさらに強調する。
ポン・ジュノそのものがサスペンスだよ!w
「闇」と「底知れなさ」と言えば、
この作品における「闇」の描き方がまたすごく怖かった。
思わず目を背けたくなるような「闇」の恐怖。
だが、その底知れない「闇」の中で蠢いているのはオバケの類いではない。
人間が蠢いているのだ!
そんな人間の蠢きがどのようなドラマを紡いでいくのか。
それはぜひ劇場で見届けてください!
あ、それとこの作品はあのウォンビンの復帰作ということで、
劇場にも韓流オバさまと思われる方々が大勢いらっしゃってました。
彼女たちがこの作品をどう観たか、
いわゆる「韓流ドラマ」とは全くベクトルの違う作品であり、
そこはとても興味があります。
世間では「韓流(笑)」という空気があるのも事実です。
僕自身もいわゆる「韓流ドラマ」「韓流スター」にはまったく興味がありません。
正直「韓流(笑)」の側です。
でも、この作品でのウォンビンの演技を観て
僕は自分の不明を恥じています。
僕らには「韓流」を笑う資格はない。
ウォンビンと同世代の日本人俳優で、これほどの演技ができる人がどれだけいるか。
ちょっと思い浮かびませんよ。
参ったね。